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お金と心理学②:給与と欲求[採用する人編] 



 前の記事では、マズローの5段階欲求を使って働く人の視点からみた”お金”に関する欲求についてお話しました。今回は採用する側の視点からお金に関すること、欲求との関係についてお話したいと思います。



 採用する側では「転職をして給与が上がる」とか、「退職せずに会社に留まってもらいたいのであれば給与をあげなさい」みたいな話ももちろんあります。これは会社の経営判断ととしていつかは考えないといけないことなんですけど、だからと言ってすぐに給与を上げてしまうと会社が経営破綻してしまって、結局社員たちが職を失うということにつながりかねません。「給与を上げましょう」って会社のブランディングとか商品開発とかいろんなことと本当に絡み合っているので、すぐに実行するのは難しいと思うんですね。


 賃金水準は、企業のステージに関係します。


 その会社が従業員の基本的な労働時間1日8時間において、基本的に稼ぐ力(売上・利益)がどれくらいあるのか。スタートアップや、下請け依存の会社は、環境面や取引先とのバランスで売上の波が大きいので、なかなか賃金アップができない。一旦上げてしまうと、従業員の心情的に下げられないからです。「今年は給与が下がった」ということってあまり聞いたことがないですよね。でも実は、どの会社でも経営者は、会社の存続のために、会社の業績に応じて役員報酬を下げることはやっています(税法上、売上予測して翌年に下げることになりますが)。


 基本給が自由に上げ下げできない分、基本給は低くしておいて、その年の変動に合わせて賞与を支給するというのが賞与の正しいあり方です。つまりボーナスですね。でも、就職や転職の相談をしていると


 「基本給の高い仕事が良い」

 「賞与(ボーナス)のある会社が良い」


と言った言葉を耳にします。

 

 でもどちらもズレた視点なんです。


 基本給が高いのは、経営構造、つまり商品の付加価値を上げたり、利益率が良かったり、販路拡大をがんばったりした結果です。これは過去の功績であり、その企業価値や企業ステージが上である結果なんですよね。「基本給が高い仕事に就きたい」の希望を持つのは自由ですが、どうやってその会社の実績や努力に見合う働きをするかを自分が志望動機の中で言えれば良いと思います。


 次に賞与に関してですが、これは社員の頑張りにより「その年に通常年度よりも、利益が上がった」ことが前提になるものです。賞与をもらえるようにどのように頑張るのかを面接で行った上で、実現可能性が高まる、もしくは自分自身が実績を持っていることが大事です。


 どちらにしても、希望をすることは自由ですが、会社の利益にぶら下がるのではなく、「どのように会社をリスペクトして、どのように自分が貢献するのか」の採用する側と採用される側のバランスが重要です。


 

Q.確かにすぐに給与を上げることはできない。どうすればよいのか?


 まずは前述の通り、すぐに基本給は上げられないので、賞与での調整をできるように見直していただけたらと思います。


  働く側に言いたいのは、結果を出した上で、次の会社に転職するなどの、マイルストーン(目標)を自分の中で掲げることが必要です。逆に会社の側に言いたいのは、転職されたとしてもその方ががんばってくれたことが、会社の資産になって残ることを忘れないでいただきたいのです。その頑張りによって企業ステージが上がります。



Q.欲求に2つの根源があることと、企業ステージと給与の関係はどう関連するのか?


 企業は「法人」として、「法の上では人」ということになります。私は集団心理(人が集まると、個人の考えと違った行動をとること)に近いようにも感じています。


 法人にとっての承認欲求は、社会的な信頼です。つまり、大きな仕事がもらえたり、銀行が融資をしてくれたり、知名度が上がるなどです。一方で衛生要因は、赤字じゃないとか、人間関係が良いと言ったことで、個人と同じですね。



まとめ

  • 給与は企業ステージと結びつく基本給とその年の実績と結びつく賞与の2つに分けて考える

  • 法人と企業ステージ、給与の関係も欲求の2つの根源(承認欲求と衛生要因)で捉えることができる


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「何か始めれば記念日」

株式会社あきた総研

代表取締役 須田紘彬

キャリアメンタリスト 地域コーディネーター

就職相談/人材確保/働き方改革/ダイバーシティ/選択肢/決断



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